ロジャース賞受賞記念講演
2024年 9月29日(日) 11:00 – 12:00
記念講演
セラピスト多様性モデルとセラピスト・センタード・トレーニング
-私の臨床を創る-
志學館大学 人間関係学部
白井祐浩 先生
「私の臨床のやり方はパーソン・センタード・セラピー(あるいは他の心理療法)として正しいのだろうか?」という悩みを持ったことはないだろうか?
同じ考え方をもとに心理療法を行っている場合でも、実際にはそのセラピストの価値観、特性、職場、相談者との関係性によって、心理療法の在り方は様々だろう。私は現在、このような個々のセラピストの要因(個別の相談者との関係を含む)を「個別要因」と位置づけ、それぞれのセラピストが自分の個別要因を振り返り、その人なりの「私の臨床」を創っていくための「セラピスト・センタード・トレーニング」の実践と研究を行っている。
このような、一人ひとりのセラピストが自分らしさを活かした「私の臨床」を創造することはどんな心理療法においても重要であると思われるが、ロジャースが自身のクローンを作り出すことを否定し、各自固有のユニークな仕方を発展させる自由を重視していたことを踏まえると、パーソン・センタード・セラピーにおいては特に重要であると思われる。
そして、各々のセラピストが「私の臨床」を創っていくことで多様なセラピストが生まれ、そのことが多様な相談者のニーズを満たすことに繋がるという考え方が「セラピスト多様性モデル」である。
本講演では、セラピスト多様性モデルの考え方と、個別要因を基盤とした「私の臨床」を創るためのセラピスト・センタード・トレーニングについて紹介をする。
講師紹介
白井祐浩
志學館大学 人間関係学部
プロフィール
追手門学院大学人間学部心理学科卒業、東亜大学大学院総合学術研究科研究科博士課程修士号取得、九州産業大学国際文化研究科博士課程修了、博士(文学)。臨床心理士、公認心理師。
主要著書
適応モデルとは異なる視点の学級集団形成の可能性-PCAグループの実践による多様性の視点から見た集団形成の可能性-(人間性心理学研究第29巻第1号)
セラピスト多様性モデルとセラピスト・センタード・トレーニング-個別要因を含めた心理療法の捉え方-(志學館大学人間関係学部研究紀要43)
逆引き!心理学研究法入門-自分の知りたいことから研究手続きを選べるようになる本-(創元社)他